増える「介護難民」、居宅介護が切り札に?

高齢者が増えている一方で、近年よく言われているのが介護人材の不足です。これはなかなか根深い問題ですよね。需要と供給がなかなか一致しないばかりか、そのギャップは広がりつつあるわけですから。今回はこうした問題について、背景や理由を見てみます。
要介護状態であるにもかかわらず介護を受けられない人を「介護難民」と呼ぶことがあります。2015年にシンクタンクが実施した調査によると、団塊の世代が75歳以上になる2025年に、東京圏で介護難民が13万人も出てしまうという結果が出ました。調査から5年以上たっているので、多少は状況が変わっているかも知れませんが、大筋では変わっていないだろうと思います。
そもそも、高齢者が増えて若者が減っている以上、介護に限らず、若い人の力で高齢者を支えるのは厳しくなっています。その中で、介護業界は賃金が相対的に低く、仕事内容も昔で言う「3K」に近いところがあるので、ただでさえ社会全体が人手不足になっている中、あえて介護業界を選ぶ若者は、よほど志のある人だけでしょう。こうして「介護難民」がどんどん増えていくわけです。

特に東京圏で深刻に

しかも、この介護難民、東京都内をはじめとする東京圏で特に深刻になるとされているのです。団塊の世代は高度経済成長期に地方から東京圏に流入しました。そのまま東京圏に居ついた層が分厚いため、特に人口バランスが歪なんですね。加えて地価の高さから都心部には大きな介護施設が作りにくかったという事情もあります。
地方では大規模な施設もたくさんありますし、人員的にも余裕がある場合があります。こう考えると、東京都府中市のような地域でこそ、大きな施設を必要としない居宅介護のニーズが高まってくるでしょう。地方へ移住できるのなら、それでも良いと思いますが、住み慣れた家や親しい人たちに囲まれて過ごしたい、という希望が強ければ、府中市に住みながら居宅介護のサービスを受ける、というのが現実的かもしれませんね。